屋上に凸凹があるままに防水を施してしまうと、凹んでいる箇所に水がたまってしまいます。防水が施されているから水がたまっても問題ないと思いがちですが、そうではありません。なぜなのかを解説いたします。
基本的にどのような屋上であれ鉄筋コンクリート造であればスラブで構成されています。ここでのスラブとは鉄筋で構成されたコンクリート造の床面のことを指します。建築工事中でしか見ることが出来ないところです。
実際に建築現場を見たことのある方は関係者でない限りそんなに多くは無いと思いますが、スラブを打つ際には型枠の中に鉄筋を組み、そこにコンクリートを流し込んでいきます。あえていうなら水槽の中に水を入れるようなイメージです。
ところが水なら水平性を保ちますが、コンクリートはなかなかそうもいきません。人の目でぱっと見た限りでは水平に見えても微妙に凹凸があったりするので、コンクリートが固まってからさらにその上から排水口に雨水などがうまく流れるように微妙に勾配をつけたりしますが、面としては平らであることが求められます。
そのために行う調整を不陸調整といいます。基本的には新築ではあまり行われることがありません。そもそもが正しく面を成しているためで、改修工事の際に劣化したりして凹凸が出来てしまったものを平らにする事を指すことが多いです。
スラブ(躯体)の上に防水を施工します。
防水工法にも依りますが新築の場合にはアスファルト防水が施工されることが多いようです。
アスファルト防水といっても溶融釜でアスファルトを溶かして接着剤代わりに使用する熱工法や、アスファルト防水材がシート状になっており裏面をトーチで炙りながら敷設するトーチ工法などが有りますが、施工したあとに歩行が必要な場合には、防水層の上に保護モルタルを敷設します。
保護モルタルも水勾配をとり平滑であることが求められます。さもなければコンクリート面に水がたまることになります。保護モルタルはシンダーコンクリートと呼ばれる、少し軽い材料が使用されます。
そもそもコンクリートには防水性はないので水がしみ込み防水層に到達しますが、防水材の上に水が常時接していることになる(湿潤状態)ので防水性能の劣化が懸念されます。
新築の場合にはさほど心配することもないでしょう。しかし防水改修が必要になってくる概ね10年目以降では些か事情は変わってきます。
防水改修を行う際には、現在では費用や工期の問題から既存の防水材の上に新たな防水を施すカバー工法が用いられることが大半です。特に保護モルタルが敷設されている場合全面撤去となると手間暇も時間も余分に掛かりますので、費用が大変かさんでしまいます。
撤去したシンダーコンクリートやアスファルト防水材の大量の廃材も容易に処分出来ませんし、処分にも費用が掛かります。またシンダーコンクリートを撤去する際の騒音や振動、粉塵の対策も行わなければなりません。
カバー工法であれば、傷んでいる箇所があれば補修を行い、どこも傷んでいなければ清掃後にそのまま新たな防水層を設ける事が出来ます。工期も短くなり費用も抑えることが出来るのです。
防水が施されている屋上は、基本的に陽当たりは良いことが多く、直射日光や紫外線、夏冬の寒暖差などからもかなりの影響を受けます。
周囲に建物があったりすると日陰になる事も期待出来るのですが、太陽光を遮る物が無ければ劣化が想定しているより早く進んでしまうこともあります。
劣化が激しく水溜まりが出来ています。
上記写真の現場では歩行が常時有るわけでは無いので押さえコンクリートはありません。そのためアスファルト防水材が露出しているのですが、いくら他工法に比べて耐久性が良いといってもこのように常時水がたまると著しく劣化が進行してしまいます。
水がたまると太陽光の影響を受けやすいのです。レンズ効果ともいえます。これにより防水効果がすぐに無くなり漏水してしまうことはそうそうありませんが、防水材の寿命を確実に短くしてしまいます。
このように様々な要因から劣化が激しくなり水がたまってしまうということは、平滑ではなく凹んでいると言う事になります。このような場合にカバー工法をそのまま行ってしまうとどうなるでしょうか?
カバー工法は既存の防水材を下地として新たな防水層を施工するものです。つまり下地に凹凸があると新たな防水層もそれに準じてしまうということで、新たな防水層施工後には同じ箇所に水溜まりが出来てしまう可能性がかなり高くなります。
防水材だから水がたまっても良いでしょ?と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし前述のように水溜まりが生じると太陽光の影響の他、防水層が長期間に渡って水に浸漬された場合、吸水→膨潤→乾燥→収縮を繰り返し、防水層の強度低下を招き、いずれは防水層にひび割れが発生する可能性が高くなります。
また防水材の材質によっては加水分解してしまうことも懸念されます。折角新しく防水材を施工したのに水溜まりが解消されていなければ、数年で劣化が激しくなり防水性を担保出来なくなる可能性も大きくなります。
不陸調整は本来スラブなどを平滑にするために行うと前述しましたが、防水改修の場合こそ、防水下地をできるだけ平滑にして水溜まりが無いようにすることが改修した防水材を長持ちさせる必須条件と考えます。
屋上にも色々な形状があり学校校舎の屋上のように広々としたものから、幾つもの役物がひしめき合っているところもあり、なかなか水勾配を上手くとることが困難な場合もありますが、そこはちゃんと計測して勾配を取ることが推奨されます。
不陸調整を行わずにカバー工法であらたに防水材を施工してしまったことから、新規防水層に水たまりが出来てしまった事例もあります。
写真では判りづらいですが、水がたまっている箇所では劣化が進んでいます。
大日化成では下地調整材としていくつか上市しておりますが、なかでも「スカイレジンWE」ではコンクリート・モルタル・ウレタン防水材(有機溶剤系)FRPなどあらゆる下地に対応し密着する材料です。
主剤・硬化剤・粉材をそのまま混合すればローラーで施工できる薄塗りタイプの下地調整材として、さらに6号硅砂を添加すればコテ塗りで最大50mm迄の厚塗りも可能なため、劣化したことにより凹んでいる下地でも充填して平滑に出来る材料となっています。
水系エポキシ樹脂をベースとするエポキシポリマーセメント系下地調整材のため様々な下地に対して優れた付着強度を発揮します。
スカイレジンWE 紹介動画
露出防水の場合ではあまり表面の劣化を鑑みることなく傷んでいる箇所のみ補修してカバー工法として上から新規防水を施すことも多いようですが、保護モルタルが施工されている場合には可能な限り下地調整を行うべきであると考えております。
先述のようにシンダーコンクリートが敷設されている場合、コンクリートそのものが劣化していることが大半です。水のたまるような凸凹な状況ではないにしても表面は風化してザラザラになっていることが多く、できるだけ平滑にして新規に防水施工を行う方が後々優位になります。
一手間は掛かりますが、ローラーで施工出来るので防水材が一層多くあるイメージで特別設備などが必要なわけではないので、新規防水材をできるだけ長持ちさせるためにも、防水改修時には下地調整や不陸調整は必須なのです。
スカイジレンWEはこちら
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
https://www.dainichikasei.co.jp/product/we.html