建築後20年間放置されていた屋上。傷みが激しく雨水がダダ漏れ状態。その場しのぎの処置では再び漏水が発生し、お手上げ状態だった現場を見事に解決したのがビッグサンRX工法です。
屋上というと何を思い浮かべるでしょうか?
ビルの屋上から見る夕陽とかロマンティックな情景を想像するのが大多数の方かと思われますが、実際にはロマンティックではない事が多いようです。実際に屋上に立ち入りが出来ない建物が大半なので、屋上からの景色を見ることも少ないのではないでしょうか。
一般的な屋上は、空調室外機が設置されていることが多く、その配管などが敷設されています。またキュービクル(降圧受電設備)を設置していることも少なからずあります。
この写真の屋上には転落防止柵がありません。つまりは、不特定多数の人が屋上には入ることが出来ないルール(前提)の下で設計されています。
常時人が入ることが可能な屋上ではそれなりに「人の目」があるし、なにがしかの管理(清掃など)もこまめに行われることでしょう。
しかしながら本例のような限られた人が要件のあるときにしか立ち入ることの出来ない屋上では、人の目につきにくく、しっかりと定期的にメンテナンスが行われなければ、荒れ放題になっている事も少なくありません。
この建物は前述の通り屋上には人が立ち入ることが出来ない設計となっており、空調室外機とキュービクルが設置されています。
キュービクルは法定で定期的な検査が必要でそのために検査人が立ち入るだけです。もちろん屋上に階段などで立ち入ることが出来る建物では施錠されているので、解錠するビルの管理者(もしくは担当者)が立ち会う程度ですが、ビルの担当者は専任者ではないことも多く、解錠するだけで他の業務に異動してしまうことも少なくないようです。
キュービクル以外の空調機のメンテナンスがあったにしても同じ様に作業者が立ち入る程度です。
しかしこれらの作業者は、メンテナンスなどが目的なので、建物に関してはまず目を向けないでしょう。
仮に屋上が傷んでいても無関心というか管轄外なので指摘することも無いと思われます。
内装になにがしかの不都合が生じれば、気付いた人がそれぞれの担当者に報告するなどを行いますが、入居者は常に屋上に入ることはないので、屋上に関しては無頓着といわざるを得ないのが現状です。
そうしたことから、年に数回メンテナンスでごく限られた人しか上がることの無かった屋上では建築後20年が経過してもほぼ見向きもされなかったために、かなり老朽化が進んでいたのです。
排水ドレンは詰まっており水が流れない。アスファルト防水の保護コンクリート(シンダーコンクリート)は割れている。目地には雑草が繁茂している。目を覆いたくなる現状です。
常々屋上には関心が無く、きちんと機能していると思い込んでいても、実際にはとんでもなく老朽化が進んでいたのです。しかしここまで酷くなるには昨日今日の話ではありません。少なくとも10〜15年掛けて劣化が進んだものと思われます。
この老朽化が進んだ屋上が大変な事になっているという事に気付いたのは、目視ではなく室内への水漏れでした。つまりは雨漏り。
雨漏りといってもマンガで出てくるようなバケツで受けなければならないような酷いものではなく、壁の上の方がどうも濡れているというレベルです。そのために、気付くのも相当遅れていました。
いざ気付いたときには床にまで水が垂れており、誰の目にも留まる状況になってしまっていました。
当然ながら施設の担当者に雨漏りがある事を告げて調査を行うのですが、その時に初めてそういった目でみて屋上が大変な状態になっていることに気付くのです。
屋上には当然ながら防水は施されています。本例ではアスファルト防水が施工されていました。保護モルタル(シンダーコンクリート)が施工されているとはいえ、それ自身が割れており水はダイレクトに防水層に伝わります。とはいえ防水層はそもそも浸水を防ぐためのものですからシンダーコンクリートが傷んだとしても直ぐには漏水はしません。
では、なぜ漏水したのでしょうか。
押さえコンクリート(保護モルタル)がこれだけ傷んでいる。つまりは保護の機能を全うしていないのです。そして雑草が繁茂していることから、雑草の根が防水層を侵していることも考えられます。
また施工後20年経過しているので、そもそもの耐久年数を大幅に超えていることも起因の一つでしょう。
10年程度であれば保護モルタルが傷んでも防水層は耐えてくれると思います。しかし耐久年数を過ぎているとなかなかそうはいかず、防水層そのものが破断したりして防水機能を全う出来なかったものです。
とはいえ、何もない状態ではないので、じわりじわりと浸水しているというのが実状です。
防水層の下には躯体のコンクリートが有ります。それらの厚みにも依りますが防水層が無いからと言って直ぐに屋内にどんどん浸水するものではないでしょう。浸水量が少なければ躯体コンクリートが湿っている程度で収まっていることも多かったのではと思います。
それらの水分の許容量を超えてしまったものが室内に出てくるのです。
排水ドレンが詰まっているので屋上一面に水が溜まってしまっています。
こういった場合の応急措置としては、割れている箇所を補修して水が入らないようにすることではないでしょうか。一般的なモルタルを詰めたりエポキシ系樹脂材をつめたり、はたまたコーキングで済ましてしまうことも少なからずあります。
しかしこれはあくまでも応急措置。これで完全に水漏れが止まるものではありません。
日常の雨レベルでは止まったようですが、昨今よくあるゲリラ豪雨のような台風レベルの雨が降るとやはり漏れてきてしまったのです。
室内に漏れると拭けば良いというものではなく、壁紙の糊がとけてしまい壁紙が剥がれてきてしまったりもします。見た目に宜しくないだけではありません。躯体コンクリートがスポンジを湿らせた状況になっていることが大問題です。
躯体コンクリートを保護するためにも防水は施されるのです。つまりは躯体を傷めてしまい、建物の寿命を縮めてしまうのです。
ここまでくると大規模な防水改修がひつようになります。そもそも耐久性の良いアスファルト防水とはいえ20年も経過すると改修が必要です。
ここまで傷みが激しいと押さえコンクリートをいったん撤去してから再度防水を施すことが最適です。
しかし手間暇、廃材処理にともなう費用も時間もばかになりません。
また配管などの役物が多くこれらを改修時に撤去するわけにもいきません。
そこで提案されたのが同じ工法のアスファルト防水。とはいえ建築時におこなった溶融釜を用いるような工法ではなく、冷工法といわれるシート状になったアスファルト防水材を現状の上から敷設するカバー工法です。
しかし現状の防水材は傷んでおり機能していません。また躯体コンクリートには水も浸透しておりそれらが水蒸気となり下から防水層を押し上げてくることも懸念されます。
そこで通気緩衝工法が最適だということになるのですが、アスファルト防水では類似の工法は存在するものの、あまり一般的ではなく結構大がかりなものになり費用も膨大になってしまいます。
そこで下地や躯体からの水分の影響を緩和しつつ防水を確実に行えるカバー工法として、ウレタン防水材での通気緩衝工法が提案されます。
ところがこのウレタン防水材は溶剤系であり独特の強い臭気が伴うものです。
この屋上の階下には食堂があり臭気が漂ってきてはお客様に不快な思いをさせるばかりではなく、飲食店としての信用にも関わります。臭気のあるところで飲食は出来ません。食事場所で無くても溶剤系の臭気は大変鼻につくし健康被害を脅かすものとなります。
そこで色々調べた結果に白羽の矢が立ったのは、全ての材料が完全な水系である通気緩衝塗膜防水材ビッグサンRX工法です。
ビッグサンRX工法は、ポリマーセメント系塗膜防水材として業界初の通気緩衝工法で現在では数多くの現場で採用いただいています。
その理由として(本例もこれが決定打になった)
1.全ての材料が完全水性で溶剤臭がしない
2.有機溶剤は引火性が危惧されるが、水性なので心配がない
3.通気緩衝工法なので、下地からの水蒸気の吐出に対応出来る
4.塗膜防水なので改修時に手間で面倒な役物があっても苦にならず確実に施工出来る
5.次回改修時に傷んでいなければ洗浄だけでそのまま塗り重ねることが可能
6.下地の動きを緩衝するので、長期にわたり防水性能を維持しやすいなど
もちろんですが、雑草を除去し、傷んでいる箇所の補修が必要なことはいうまでも有りません。しかしその手間だけで現状の悲惨な漏水を防ぐことが可能なのです。
防水改修であるのでどのような工法であれ防水性が担保されるのは当たり前であり、性能云々以前に無臭であることが、本例の最大の決め手であると伺っています。
階下のレストランに短期間であれ有機溶剤の臭気が漂うと取り返しのつかないことになります。食事をされるお客様に不快な思いどころか健康被害にも繋がりかねません。
建物の保全は第一優先でしょう。それこそ食事している上から雨漏りというのも非常に良くないです。しかし改修工事であるというところで、居住者や施設利用者がいるなかでの作業となるということが工法を選択する上で重要な要素です。
防水性能は当然ながら屋上用の防水仕様であれば、どの工法でもあります。防水改修を提案(検討)する中ではこの要素は必須であり、どの材料を選択しても防水性能については問題無いと思います。
第三者がいるなかでの作業。ゼネコンの新築現場でも注意しなければいけないのは第三者への接触事故でしょう。作業者の安全を考慮するのは当然ですが、関係の無い第三者へ影響を及ぼす事は避けなければなりません。
この現場は幸いなことに街中ではありません。そのため周辺への影響を鑑みることは少ないかもしれません。
しかし、密集地であればどうでしょう? 向こう三軒両隣への気遣いが必要になります。足場を組みネットなどで仮囲いをしていても臭気というものは容赦なく滞留してしまいがちです。
健康被害を伴うばかりか、周辺住民から臭気が酷い!と言われてしまえば、工事を続行することも困難になるのでは無いでしょうか。場合によっては臭気問題が完全に解決しなければ工事が停止してしまうこともあるでしょう。
本例の現場では、防水改修以降は水が漏れることなく快適に過ごされています。
当然ながら改修作業時に臭気に対するクレームはありません。アスファルト工法の様に火気も使用しません、シート防水(機械固定式)のようにプレートを固定するためのアンカーを打つ振動音もありません。
ビッグサンRX工法ではローラーでの塗布作業のため騒音などないに等しいのです。いつのまに作業が済んだのですか?といわれるくらいです。
臭気だけではなく作業時の騒音も殆どありません。
・音も臭気もほとんど無い安心安全な防水改修工事
・通気緩衝工法なので下地からの空気の吐出に対応できる
・下地の動きを緩衝するので下地が動いても防水層への影響が少ない(防水材が切れることがほぼ無い)
こういった改修工事の必要な箇所・防水以外に求められる重要な要素を全う出来るのが、ビッグサンRX工法です。
ビッグサンRX工法に関してはこちらをご覧下さい
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