アスファルト防水を保護するためコンクリートを打設することが多いのですが、このコンクリートの劣化のため防水層を傷めてしまい改修工事を行う必要がでてくる事が多々散見されます。その事例からアスファルト防水改修工事は何が最適なのかをご紹介します。
防水工事が始まった当初から採用され続けてきていることもあり、多年の信頼が多く比較的長持ちすることからも屋上防水工法としてかなりのシェアをほこっているアスファルト防水。
防水層の保護を目的としてコンクリートを打設する事が多々あります。ビルやマンション・学校校舎など立ち入る人が少ない屋上の場合でも、施工されていることが多いようです。
歩行による摩耗だけではなく、雨風や直射日光の曝露による劣化から防水層を保護する目的から施工されています。
保護コンクリート例(かなり劣化している様子)
これらは一般的に、保護コンクリートやシンダーコンクリート(シンダーコン)と呼ばれ、新築の際に施工されています。しかしこのコンクリートも鉄壁ではなく劣化していきます。
特にシンダーコンは重量を軽く抑えるために躯体に使われるようなものではなく、軽量のものが使われていることが多いため、劣化が通常のコンクリートよりも早くなる傾向があります。
東京都内にある四階建ての小規模マンション屋上の事例ですが、建築されたのは昭和50年代とのこと。今でこそ様々な建築資材が開発されて施工されていますが、この当時では屋上立上りの笠木までコンクリートで施工されていました。
一般的な認識としてコンクリートは強度が強く長持ちするものと思われています。目に見える箇所でひび割れが発生しているものも散見されますが、保護コンクリートが割れて雨水が浸入しても、防水層に損傷が無ければ、すぐに漏水する事もない為、特段何もされないで多少のひび割れは放置されていることも少なからずあります。
しかし実際にはこのひび割れこそが防水層にとっても防水改修する場合にも諸悪の根源となってしまいます。
コンクリートを一面に打設する場合、平米数にも依りますがコンクリートの膨張収縮による割れの発生を防止するために、伸縮目地が設けられます。
コンクリート同士の干渉を防ぐ為なので伸縮目地は隙間が空いている状況です。その為目地材を設置することで浸水を防ぐ役割を担っています。
しかしこの目地材も経年で劣化が起こりますので写真のように継ぎ目から目地材が押し上げられてしまい水が目地内に浸入したり、溜まりやすくなることで、コンクリートの強度を低化させてしまう原因となります。
目地材が劣化・風化してボロボロになったところからコンクリートが欠損している例です
保護コンクリートが防水を担っているわけではなく、あくまでも防水層が躯体への浸水を防いでいますので、すぐに漏水する事はないと思いますが、事例のように40年近くも手入れをされていない場合には、少し事情が変わってきます。
ひび割れだけ見ると大きさの判断をしかねますが、立上り部の吊りカン(φ100程度)と比較するとどれだけ大きなひび割れがあり、放置されていたかが判ります。
500円硬貨が落ちてしまうくらいのひび割れです
また役物の立上り部ではコンクリートが大きく欠損し鉄筋がむき出しになっている箇所も有りました。
これだけ押さえコンクリートが劣化していれば、防水効果が長く維持出来ると言われているアスファルト防水であっても部分的にはかなり疲労劣化していると思われます。
このマンションの構造上の問題も有ったのか比較的漏水に至るまでに時間が掛かっていたようです。ところが一旦漏水が始まると、漏水箇所を突き止めることも困難な状況だったそうです。
建築の管理会社は選任されておらず、漏水がある毎にその都度、業者に依頼していたそうです。
しかし漏水が止まったと思ったら、また別の箇所から漏水が始まり、そこを処理するとまたその次とイタチごっこの状態でした。
マンションのオーナーさんがいくら何でもこれはダメだなと、防水工事業者に改修の依頼を行うことになりました。
防水工事会社も現場を見た途端、これはそうとう大がかりになるかもしれないと思ったそうです。
ここでどういった改修工事を行うかで全く方向性が変わってきます。まずはシンダーコンをどうするかです。既存のアスファルト防水層は何カ所か劣化が始まって漏水しているわけですので、それをやり替えるにはシンダーコンを剥がすことが必要になります。
ところがコンクリートを剥がすということは容易では有りませんし、なにより住民が生活するなかで作業を行わなければなりません。シンダーコンを剥がす騒音をはじめ手間暇と剥がした後の産業廃棄物としての処理費用も馬鹿になりません。
その為、現状のまま上から新たな防水層を施工する被せ方式を検討することになりました。
元々がアスファルト防水ですのでこのままアスファルト防水を施工することを最初に提案されたそうですが、火気を使用する事と、敷設した際の重量のことも考えるとあまり良くないのでは?との意見も出て、塗膜防水を採用する事になりました。
当初はウレタン塗膜防水が提案されましたが、溶剤系のため独特の臭気がただよってしまいます。あくまでも住民が生活をしながらの施工ですから、住民や近隣への健康被害を最優先にしなければ成りません。
その様な過程を経て選択されたのが、オール水系であるビッグサンです。
ビッグサンは完全水性材料で、溶剤系の臭気は一切発生しませんので、住民や近隣周辺に迷惑を掛けることなく施工が可能です。
これまで数十年にわたり押さえコンクリートの割れからしみ込んだ水分や漏水に至った為、躯体内部にもかなりの水分が浸透しています。新たに防水層を上に設けるわけですから、下地からの水蒸気によってフクレが生じて新しい防水層を傷めてしまいかねません。
その為、下からの水蒸気を逃がすことが可能なビッグサンRX工法が採用されました。
下地コンクリート(躯体)から上がってくる空気や水分をRXシートを通して脱気筒から逃がし防水層に影響を与えない工法です。
ビッグサンRX工法が下からの蒸気を排出する仕組みを動画でご覧いただけます。
ビッグサンRX工法は下地の動きによる防水塗膜への影響を緩衝するため、耐疲労性能に優れた防水工法です。
建物は地震の際の大きな揺れだけではなく、周囲の道路を通過する大型車の振動や雨風にも影響を受けて、常に僅かずつではありますが動いています。
その為ガラスのような固い防水層であれば揺れと同時に破断してしまいます。またこの現場の場合には下地にエキスパンションの入っている押さえコンクリートがありますので、四方八方に揺れが分散されるために様々な方向の動きに耐えうる防水層でなければなりません。
耐疲労性能に際してはJASS8メンブレン防水層の性能評価試験でも実証されています。
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https://www.dainichikasei.co.jp/topics/jass8.html
まずは押さえコンクリートの伸縮目地材を全て綺麗に撤去しシーリングをします。
同じ様に割れている箇所にもシールを行います。
その上から通気緩衝のためのRXシートを貼り付けて作業を進めていきます。
RXシートのジョイント部は専用のジョイントテープ(RXテープ)を貼り付けて処理します。
適切な位置に脱気筒を取り付けて、外周端部の押さえシール処理を行います。
次に工程通り、ビッグサンを塗布していき、最後にトップコートを施工して完成となります。
施工後は当然ながら漏水は止まり、住民の方も安心して生活を維持出来るようになりました。
施主さまからは、新たな防水層が機能してくれ漏水が止まったことにほっとしている。また施工に際しても既存下地を撤去することなく、かつ臭気問題や騒音もださずにすみやかに工事が終わったことが非常に有り難かった。
と施工会社へご感想を頂いております。
かなり大きく痛んでいた屋上ではありましたが、大がかりな防水改修工事にはならず費用も安価に抑えられたことも喜んで頂けた要因の一つではないかと思います。
押さえコンクリートの劣化は結構見落とされがちです。これらを定期点検でメンテナンスを行っていれば、有る程度漏水は防げたかもしれません。しかし未来永劫防水機能を維持出来るものではありません。
そういった場合でも、押さえコンクリートの上から施工出来て、シンダーコンと既存防水層の間に溜まっている水分を排出出来、かつ下地躯体の動きも緩衝出来るビッグサンRX工法。
次回の防水改修工事でも余程の痛みがなければそのまま上からの施工が可能かと思われます。臭気の問題もありません。押さえコンクリートの撤去費用や廃材処理費用等、余計な費用を掛ける必要が無いため、トータルで見れば、割安な屋上防水改修工法ではないかと考えております。
アスファルト防水+シンダーコンの防水改修にはビッグサンRX工法を御検討・御採用いただければと思います。
ビッグサンRX工法はこちら
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https://www.dainichikasei.co.jp/product/bigsun_rx/