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防水改修を行う場合、通常同じ材料・工法で改修を行う事が多いのですが、他の材料・工法が採用されることもあります。同じ工法で施工するのか、他工法を採用するのが良いかメリット・デメリットを含めて検討した例をご案内します。
屋上防水といえば、過去の実績から言えば圧倒的にアスファルト系防水材が多用されていると思います。アスファルト防水はその防水性・堅牢性などの特長に加えて、長年の施工実績から特に新築工事では多用されています。
防水材料においてアスファルト系防水材以外では、シート防水・ウレタン系塗膜防水・ポリマーセメント系塗膜防水などがあります。アスファルト系防水材は溶かしたアスファルトでルーフィングシートを貼り重ねて防水層を形成します。
シート防水もゴムシートや塩ビシートなどを下地に貼り、設置していくイメージですが、ウレタン系塗膜防水材・ポリマーセメント系塗膜防水材は「塗布」するので、狭い場所や役物が多く、シート防水のような貼り付け作業が難しい箇所では非常にアドバンテージが強く採用されることが増えています。
しかしどのような工法であれ、未来永劫に防水性能を担保出来るわけではありません。耐久性など工法によって多少の長短は有りますが、概ね10〜15年を目処に防水層の改修が求められます。
建築後約30年の賃貸マンション(5階建て)のセットバックされた屋上の2次防水改修を行う事になりました。
前回の改修時はウレタン塗膜防水の通気緩衝工法が施工されていました。施工箇所は南西に面しており、一日のうち直射日光が当たる時間がかなり長いために、太陽光からの影響を受けてトップコートが劣化し、部分的に水溜まりもできていました。
一見綺麗に見えるのですが、防水性能を担保するという見地からはあまり良くない状況です。
そこで、防水改修を行うにあたり防水施工会社と改修仕様についてどのような工法で行うか検討しました。
検討の結果、まずは既存防水層を残して、上から新たな防水層を施工する被せ工法での施工が決定しました。
というのも、既存防水層が完全に劣化してボロボロの状態であれば、全撤去した上で新規防水を行う事が推奨されますが、今案件の場合では、屋内に漏水しているという最悪の状況ではなく、見た目にはまだ劣化していないようにも見受けられるからです。
もし全撤去するとなれば、撤去費用は元より撤去した廃材の運搬や処理費用も掛かります。そのためできるだけ元の防水層を残したまま新たな防水層を施工したいものです。
また廃材を出さないということは環境保護の面からもメリットがあります。
次に検討することは、防水材は何を使用するか?ということです。
基本的なパターンとしては、現状と同じ防水材・工法で改修を行うことが多いかと思います。しかし今回の場合、施主様が違う工法も検討したいという要望があり、メリット・デメリットを含めて検討することになりました。
当初、昨今多用されている塩ビシート防水を提案されたのですが、塩ビシート防水では機械固定方式が主流となっており、シートの設置に専用の固定ディスクを使用します。この固定ディスクを約50p間隔で設置する為に、下地スラブに振動ドリルで膨大な数の穴を開けることが必須で、長時間にわたり振動音が響くことになります。階下に居住者がいることから振動音で不快にさせてしまうことは避けたいということで、採用は見送られました。
塗膜防水であれば、作業における振動や騒音はほぼ皆無ですし、もともとがウレタン塗膜防水だったことから、候補として「ウレタン系塗膜防水」と同じ塗膜防水である「ポリマーセメント系塗膜防水」で検討することになりました。
それぞれ特長やメリット・デメリットが異なるので、それぞれの項目を比較検討します。
特長
メリット
デメリット
特長
メリット
デメリット
施主様はポリマーセメント系塗膜防水材についてあまり詳しくなく、ポリマーセメント系という言葉と(セメントは堅いというイメージ)、伸縮性がやや劣るということに不安を感じられたそうですが、実際の現場での施工実績が数多くある事、実用上まず問題が無い柔軟性を備えていることを伝えると、安心されたそうです。
メリット・デメリットを鑑みて比較検討した結果、施主様が出された結果は「ポリマーセメント系塗膜防水材」でした。
ウレタン防水材からポリマーセメント系塗膜防水材へ変更する際のメリットをまとめてみました。
•環境への配慮: 有機溶剤を使用しないため、大気汚染や作業者の健康への悪影響が少ない。
•臭気が少ない: ウレタン防水に比べて臭いがほぼ無く、居住者や近隣住民への配慮が可能。
•耐候性が高い: 紫外線や雨などに強く、耐久性が高いです。
•下地への密着性: 既存のウレタン防水との密着性が良好で、剥がれにくいという特長があります。
なかでも決め手になったのは、環境への配慮です。
防水改修なので新築時のように建設に携わる関係者だけではありません。作業者は元より「居住者」が生活する中で作業を行わなければなりません。
有機溶剤特有の臭気が漂ってしまうと、健康被害の懸念があります。なかには良い匂いだと感じる方もいるかもしれませんが、大多数において不快な臭いです。作業中はもとより、作業が終わったからと行って臭気がすぐに消えるものではありません。
深夜であっても環境によっては臭気が漂い寝ることもままならないということが、他のマンションの改修工事の際に実際にありました。寝室の臭気が酷く、まだマシだったリビングで家族全員が寝たということです。
ポリマーセメント系塗膜防水材への変更は、環境への配慮や作業者の健康面からも非常に良い選択肢と言えるでしょう。ただし、伸縮性や下地処理など、注意すべき点もあります。
ここで検討されていた、ポリマーセメント系塗膜防水材ですが、弊社の「ビッグサン RB-6工法」となります。
既に前回の改修時にウレタン塗膜防水の通気緩衝工法が施工されており、表面のウレタン防水塗膜層の劣化のみでしたので、既存の通気緩衝工法の要素を生かし、ウレタン塗膜防水層を更に補強する意味合いで密着工法である「ビッグサンRB-6工法」を選びました。
ポリマーセメント系塗膜防水材は水性の材料ですので、既存のウレタン塗膜防水を侵すことなく、新規防水層を形成することができます。
今例のような2次防水改修でかつ既存の防水材を撤去せず上から施工する被せ工法の場合、重量の問題や既存防水層との相性の問題等、様々な検討点において、十分対応可能な工法になります。
ポリマーセメント系塗膜防水材「ビッグサン」防水材ですが、各種試験で以下のような結果がでています。
80度の熱風乾燥機にて1週、2週、4週、の物性(引張強さ・伸び)経過を確認
抗張積の変化率
抗張積とは、破断強度(引張強さ)と破断時の伸び量を掛けたもので、破断耐久性を示す数値として用いられております。
真夏の屋上は熱せられますが、ビッグサン防水材は上記のように熱に対しても物性が
安定しているのがわかります。
紫外線による超促進耐候性試験機(スーパーUV)を使用して、各防水材に紫外線を1000時間(約20年相当)まで照射し、物性(引張強さ・伸び)の変化を確認。
抗張積の変化率
抗張積とは、破断強度(引張強さ)と破断時の伸び量を掛けたもので、破断耐久性を示す数値として用いられております。
スーパーUV 1000時間照射後の表面状況 ※トップコートなし、防水材単体
防水塗膜自体はゆるやかなカーブにて劣化が進んでいくことがわかります。
また、たとえ経年劣化にてトップコートが無くなったとしても、ビッグサン防水材は風化せずに、
防水塗膜として存在し続ける防水材であることがわかります。
このような結果からも有効な防水材として認知され、上市以来様々な現場で採用され続けています。
これらの内容をもとに施主様が「ビッグサンRB-6工法」を採用されることになりました。
工事中は何ら問題なくスムーズに施工が進み、居住者からの不安や不満は一切ありませんでした。
施主様にも結果として大変喜んでいただき、次の改修はまだまだ先ですが、ぜひとも同じ工法で改修を行いたいと仰っているそうです。
有機溶剤系の防水は臭いが強く、作業環境や周辺への影響が懸念されます。ポリマーセメント系塗膜防水材への切り替えは、環境への配慮や作業者の健康面からも非常に良い選択肢と言えます。
そればかりではく、下地になるウレタン防水材との密着性や改修後の耐久性なども含めて、心配が非常に少ない工法といえるでしょう。
同じ工法にこだわらず、他工法をこのように検証しながら検討し最良な工法を選定することが望まれます。
今回の現場では、やはり臭気問題が一番の懸念事項でありましたが、全ての材料が水性であるビッグサン防水材が選択されたため、臭いの問題は一切無かったそうです。
防水改修は、建物の寿命を左右する重要な工事です。安易に同じ方法を選ぶのではなく、様々な選択肢を比較検討し、最適な方法を選ぶことが大切です。
ビッグサンRB-6工法についてはこちら
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
https://www.dainichikasei.co.jp/product/bigsun1/bigsun1_kouhou.html#rb6