ポリマーセメント系塗膜防水材とは、エマルション(水系)樹脂とセメント系パウダーを調合した材料からなり、有機溶剤(シンナーなど)を使わない為、特化則(特定化学物質障害予防規則)の配慮を必要とせず、 有機溶剤を含まない無機水系という環境に配慮した防水材です。水和凝固型防水材ともいわれます。
また、施工には火気や有機溶剤を使用しないので、施工作業者・作業周囲の安全性向上がはかれる防水材です。
ポリマーセメント系塗膜防水材は、建築土木市場において、約30年の歴史があり、 施工面積は、新築工事で年間400万u以上、改修工事で300万u以上の実績があります。
大日化成のポリマーセメント系塗膜防水材【ビッグサン】は、製品の発売から、4000万平米を出荷しています。
他工法(有機溶剤系)防水材と比べて地球と環境に優しい防水工法であるため、 近年需要が高い防水工法でもあります。 また、ポリマーセメント系塗膜防水工法は、液体での使用の為凹凸がある部位にも対応可能であり、 完成状態はシームレスなので、つなぎ目がなく美観にも優れ、使用範囲も 幅広く利用できることが特徴です。
主に、中規模建築物の屋根・ベランダ・バルコニー・開放廊下・急勾配屋根・サッシ周りなどの屋内。浴室・厨房・トイレ・OAフロア・トレンチピットなどの屋内。水槽類・地下地下外壁、内壁・などに使用されています。
施工やメンテナンス時にもゴミを出さないため、下地の撤去費用も発生せず、 コストにも環境にも優れた防水材といえます。
ポリマーセメント系塗膜防水材(水和凝固型防水材)は、ポリマーセメント系塗膜防水用エマルション(以下、ポリマー混和液という)とポリマーセメント系塗膜防水既調合粉体(以下、既調合粉体という)で構成され、下記の種別に適合するものとする。
工 程 |
Aタイプ | Bタイプ | ||
---|---|---|---|---|
PA-1仕様 | PA-2仕様 | PA-3仕様 | PB-1仕様 | |
使用量 1.5(kg/m²) 平均厚み 0.8(mm) |
使用量 2.1(kg/m²) 平均厚み 1.1(mm) |
使用量 3.0(kg/m²) 平均厚み 1.6(mm) |
使用量 2.5(kg/m²) 平均厚み 1.1(mm) |
|
1 | プライマー塗り 0.2(kg/m²) |
プライマー塗り 0.2(kg/m²) |
プライマー塗り 0.2(kg/m²) |
プライマー塗り 0.2(kg/m²) |
2 | ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 0.8(kg/m²) |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 1.2(kg/m²) 防水用補強布張り |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 1.2(kg/m²) 防水用補強布張り |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Bタイプ 1.5(kg/m²) |
3 | ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 0.7(kg/m²) |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 0.9(kg/m²) |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 0.9(kg/m²) |
ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Bタイプ 1.0(kg/m²) |
4 | − | − | ポリマーセメント系 塗膜防水材塗り Aタイプ 0.9(kg/m²) |
− |
ビ ッ グ サ ン |
Aタイプ | Bタイプ | ||
---|---|---|---|---|
PA-1仕様 適合工法 |
PA-2仕様 適合工法 |
PA-3仕様 適合工法 |
PB-1仕様 適合工法 |
|
RA-3工法 RA-4工法 ACE工法 |
RB-5工法 RC-5工法 RB-6工法 |
RB-7工法 RB-8工法 |
GRG工法 GR工法 |
[注] (1)ポリマーセメント系塗膜防水材の使用量は、式(1)により換算する。
W=G×T×100/C …式(1)
ここに W:使用量(kg/m2)
G:硬化塗膜比重
T:平均厚み(硬化後)(mm)
C:全固形分(%)
なお、表中の平均厚み(硬化後)は、防水材単独の厚みであり、プライマー、補強布の厚みは考慮していない。
(2)使用するポリマーセメント系塗膜防水材の性状により、上記で算出した総使用量を変えずに、工程数および各工程の使用量を増減することができる。
(3)平場と立上りは、同一仕様とする。
(4)プライマーについては、防水材製造業者の仕様による。
上表の ポリマーセメント系塗膜防水材の使用量は、Aタイプでは全固形分80%・硬化塗膜比重1.5、Bタイプでは全固形分80%・硬化塗膜比重1.8の材料を示したもので、全固形分および硬化塗膜比重がこれ以外の場合には、表中の平均厚み(硬化後)を確保するように使用量を換算する。
防水層の保護は・仕上げは、下記を標準とする
イ | ロ | ハ | ニ | ホ |
---|---|---|---|---|
非歩行用 仕上げ塗料 |
軽歩行用 仕上げ塗料 |
セメント モルタル |
薄塗り型 ポリマーセメントモルタル |
保護緩衝材 |
[注] (1)イ、ロ、ハ、ニの塗布量・塗布回数などは、防水材製造業者の仕様による。
(2)イ、ロ、ハ、ニの平場と立ち上がりは同一仕様を標準とする。
(3)ホの保護緩衝材は、地下外壁の埋め戻し時の防水層損傷防止として用いる。
保護緩衝材は、防水材製造業者の仕様による。
防水層の適用は、下記を標準とする。
仕 様 |
保 護 ・ 仕 上 げ の 種 類 |
適用部位・用途 | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
屋外 | 屋内 | 水槽類・地下 | ||||||||||||||||
中 規 模 な 屋 根 |
ベ ラ ン ダ |
開 放 廊 下 |
ひ さ し |
急 勾 配 屋 根 |
サ ッ シ ま わ り |
小 規 模 な 浴 室 |
厨 房 |
ト イ レ |
O A フ ロ ア |
ト レ ン チ ピ ッ ト |
水 槽 類 |
地 下 外 壁 |
地 下 内 壁 |
|||||
非 歩 行 |
軽 歩 行 |
下 階 居 室 有 |
下 階 居 室 無 |
下 階 居 室 有 |
下 階 居 室 無 |
|||||||||||||
PA-1 仕様 |
イ | − | − | − | − | − | − | ○ | ○ | ○ | − | − | − | ※ | ※ | − | − | − |
ロ | − | − | − | ○ | − | ○ | − | − | − | − | − | − | ※ | ※ | − | − | − | |
無 | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ○ | ○ | − | − | − | |
PA-2 仕様 |
イ | − | − | − | − | − | − | ※ | ※ | ※ | − | − | − | − | − | − | − | − |
ロ | − | − | ○ | ※ | − | ※ | − | − | − | − | − | − | ※ | ※ | − | − | − | |
ハ | − | − | − | − | ※ | ※ | − | − | ※ | − | − | − | − | − | − | − | − | |
PA-3 仕様 |
イ | ○ | − | − | − | − | − | − | ※ | − | − | − | − | − | − | − | − | − |
ロ | ※ | ○ | ※ | − | ○ | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | |
ハ | − | − | − | − | ※ | − | − | − | − | ○ | ○ | ○ | − | − | − | − | − | |
ニ | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | |
PB-1 仕様 |
ハ | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ※ | − | ※ |
ニ | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ※ | − | ※ | |
ホ | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ○ | − | |
無 | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ○ | − | ○ |
[注] (1)中規模な屋根とは300m²以下の屋根をいう。
(2)小規模な浴室とは、床面積10m²以下の浴室で浴槽内部を除いた床・壁をいう。
(3)水槽類とは地下に設けられた受水槽・消火水槽などの水槽をいう。
(4)平場と立ち上がりは同一仕様を標準とする。